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2025年の建築基準法改正で再建築不可物件のリフォームはどうなる?
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昨今の不動産価格の高騰により、中古物件の購入を検討される方が増えてきています。
中古物件も様々で、現況でそのまま購入して自分好みにリノベーションする方、
リフォーム済の新築そっくりの物件を購入される方、
予算や引渡し時期などの兼ね合いで何を選択するかは人それぞれですが、
どんな物件でも大規模修繕ができるわけではないのを皆さんご存知でしょうか?
地震大国の日本は建築基準法の法改正も多く、現状普通に住宅が建っていても
いざ解体して新しく家を建てようと思うと再建築不可ということがあったりします。
その住宅が建築された当時の建築基準法の条件は満たしていても現在の建築基準法の条件には満たないことから
軽微なリフォームをすることは認められていても、建て直すことはできない物件が存在します。
不動産のチラシで「再建築不可」という言葉を見掛けたことがある方もいるかと思います。
近隣の物件に比べ、極端に価格が安いと思ったら「再建築不可」物件だったというのはよくあるお話です。
では、軽微なリフォームというのはどの程度のことを指すのでしょうか?
そして、2025年の法改正が再建築不可の物件にもたらす影響というのは一体なんなのでしょうか。
■再建築不可とみなされる物件とは
再建築不可の定義というのは大きく分けて4つあります。
一つ目は敷地上空に17万ボルト以上の電圧線が通っていること。
二つ目は先程も申し上げたように、何らかの理由で建築当時の法律と
現在の建築基準法に隔たりがあり、再建築が認められない物件を指します。
三つ目は市街化調整区域内に物件がある場合です。
簡単に説明すると、日本の国土は市街化調整区域と市街化区域に分けられ、
市街化調整区域はあまり都市開発をせず、無秩序な市街化を防ぎたい地域を指します。
そのため、市街化調整区域内に位置する物件は制限も多く、
建物の建築が難しいエリアということになります。
四つ目は接道義務違反です。
家を建てる際に守るべきは「建築基準法」です。
その建築基準法には接道義務というものがあり、建物を建築する場合
原則として幅員4メートルの道路に接する間口を2メートル以上確保する義務です。
接道義務の対象になる道路も建築基準法で定められており、
道路なら何でもいいというものでもありません。
再建築不可の物件の多くはこの四つ目に当てはまることが多く、
この接道義務がなかった頃は狭い土地にぎゅうぎゅうに住宅が立ち並んでおり
火災などが起こった際、消防車などの緊急車両が入っていけずに
火災が隣家まで広がってしまったり、鎮火が遅れたことで
逃げ遅れる人がいたことから法の見直しが行われ、
この法改正以前に建てられた住宅で再建築不可物件は数多く存在します。
■再建築不可の物件はデメリットしかないのか?
再建築不可という理由から価格が下がることから、不動産業界では
あまり価値のないものとして扱われてきた時期もありました。
事実、住宅ローンの面においても担保価値がないとみなされ、
基本的に住宅ローンの融資を受けることができません。
そのため再建築不可の物件を購入される方は購入時もリフォーム時も現金一括購入となります。
住宅ローンを組まずに購入できる方にとっては金利がかかることもなくメリットとも言えますが
もし事前災害か何かで倒壊してしまったらその後の再建築は不可となるので
そこが最大のウィークポイントかもしれません…。
しかしながら、近隣の新築物件に比べて格段に安く、下手したら周辺の売地よりも安いケースもあります。
上物が付いて周辺の売地(土地のみ)と比べるとこれは大きなメリットと言えます。
■再建築不可物件購入のポイント・注意点
ここまでのお話だとメリットをあまり感じられない人も多いと思います。
それでも再建築不可物件を購入する人も多く、そういった方の為に注意点をお伝えしておくと、
耐震性能と耐火性能を引き上げる設計施工でリフォームを行うことでです。
では、再建築不可の物件というのはどこまでリフォームできるのでしょうか。
再建築不可の物件というのは建築する際に必要になる「建築確認」を受けることができません。
建築確認を受けられれば再度新築することができます。
この建築確認を受けることができると、延床面積を増やす増築や大規模な修繕が可能となります。
建築確認が受けられないということは、建築確認の要らない修繕なら可能ということになります。
具体的には、基本構造である梁や柱、筋交いなどを変えず、
増築とならない範囲内であればリフォームは可能なので、新築に限りなく近い
【スケルトンリフォーム】は大丈夫ということになります。
■再建築不可の物件がなぜフルリフォームできるのか?
大規模な修繕というのが不可能と言っているのにもかかわらず、
ここまで大掛かりなことができてしまうことに納得のいっていない方もいらっしゃると思います。
そもそも建築基準法で定められている「大規模な修繕」というのは
修繕する建築物のうちの二分の一以上にわたり修繕することを言います。
余計に「あれ?ダメじゃん」と思ってしまった方が大半でしょう(笑)
しかしこの建築基準法には例外があり、4号建築物(2階建、延床面積500㎡以下)に関しては
確認申請を受けなくてよいことになっているのです。
この500㎡というのはおそらくほとんどの住宅に当てはまるので
一般的な住宅がここまでの大掛かりな修繕をすることができるのです。
しかしながら、再建築不可となっているだけあって実際にリフォームの依頼をするとなると
工事車両が入れなかったり、工事車両が入れたところで隣地との距離感によっては
足場の設置が難しいといった別の問題が出てくることもあり、
こういったことがクリアできて初めてリフォームが行えます。
しかし、この建築基準法が2025年に改正されると
再建築不可物件の修繕工事にも規制がかかることが予想されており、
4号建築物に代わって新2号建築物という建築物が設けられます。
この新2号建築物は2階建ておよび平屋建て(200㎡)を指し、
また、これに当てはまる物件だとしても確認申請を行い、その際に
構造計画書などの構造安全性を確認する書類の提出が義務化されます。
そもそも確認申請ができない再建築不可の物件はどうなるのか…。
畳からフローリングに変更したり、キッチンやバスルームを取り替えるなどの
梁や柱に影響のない小規模な修繕に関してはこれまでと同じように申請不要です。
これまでは当たり前に行われていた再建築不可物件のスケルトンリフォーム。
詳細に関してはまだ決まっていない規定も多く、
政府からの発表が待たれるところです。