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タワーマンションの相続税が増税!?
カテゴリー:スタッフブログ

一昔前は親の遺産相続、特に不動産に関して言えば、自らが居住していた"一戸建て"がメインでした。
時代が変わり、マンション住まいの方が増え、タワーマンションの相続件数も増えてきました。
そのタワーマンションの相続税の増税が2023年中で検討されています。
相続税評価額の算出基準が変更されることで、結果的に相続税の納税額が上がる場合があるということです。
タワーマンションの相続税が見直されている理由や税制改正の内容、節税効果が薄れる、相続税の計算方法などについて解説します。
■2023年中に行われる「タワーマンション増税」
「タワーマンションや高層マンションには節税効果がある」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?
タワーマンションは住戸の数が多いため、通常のマンションや一戸建てに比べて相続税や固定資産税が節税できることがあります。
マンションの相続税は、現金や株式のように時価で計算されるのではなく、土地や建物それぞれに決められた評価額があり、その額に応じて課税されます。
土地や建物の評価額は実際に取引されている価格よりも低い額で設定されているため、現金や株式を相続するよりも節税効果が見込まれます。
また、マンションの土地については、敷地全体の評価額から各住戸の持分を割って計算するため、同等の敷地面積であれば住戸数の多いタワーマンションは住戸数の少ない低層のマンションに比べてさらに評価額が少なくなります。
そのため、タワーマンションには節税効果があると考えられるのです。
しかし、2023年中にタワーマンションにおける相続税の増税が予定されています。
タワーマンションの相続税評価額の算出基準が変わり、上記のような相続税評価額と、実際に取引される価格の差を利用した節税が行えない可能性があるのです。
購入価格と税額のもとになる不動産の評価額の差を利用したタワーマンション節税で期待できる相続税や固定資産税について見ていきます。
◎相続税の節税の仕組み
財産を相続する際、タワーマンションで相続すると節税できる可能性があります。
前述の通り、現金や株式を相続する場合、そのままの価格が相続税の課税価格(課税の対象となる財産の価格)となりますが、マンションの場合は「相続税評価額」が課税価格として扱われます。
マンションの相続税評価額は、実際に市場で取引される価格に比べて低く設定されている傾向にあるため、その価格の差を利用して相続税の節税がなされるという仕組みです。
現金で相続せずに不動産で相続すると節税できることに加え、これがタワーマンションであればさらに節税効果が期待できます。
というのは、タワーマンションの相続税評価額が市場の価格に比べて低くなるからです。
前述のように、タワーマンションは敷地に対する住戸数が多いため、一戸あたりの持分とされる土地の面積が小さくなります。
その影響で、タワーマンションの土地に対する相続税評価額が時価よりもかなり低くなり、相続税も抑えられるということです。
◎固定資産税の節税の仕組み
固定資産税は、土地と建物に対して別々にかかり、それぞれの固定資産税評価額に税率をかけることで算出されます。
先程もお伝えしたように、住戸数が多いタワーマンションの場合、一戸あたりの持分面積が少なくなるため、土地の固定資産税は抑えられることがあります。
ただし、建物自体の評価額は通常のマンションより高くなりやすいため固定資産税は相続税に比べて大きな節税効果は期待できないということを覚えておきましょう。
■増税が検討されているタワーマンションの相続税
現在、タワーマンションにかかる相続税の増税が検討されています。
なお、タワーマンションにかかる固定資産税においては2017年に税制が改正されました。
以前は、マンションのどの階でも固定資産税の税額は同じだったため、低層階の物件に比べて購入金額が高い傾向にある高層階の物件のほうが固定資産税の節税効果が大きくなる仕組みになっていました。
しかし、税制改正が行われたことで、高層階になるにつれて固定資産税が上がり、高層階の物件のほうが節税効果が大きくなるといった問題が改善されたのです。
ここからはタワーマンションの相続税について見直しが行われている理由と、改正の具体的な内容について解説します。
◎税制改正の背景
タワーマンションの相続税の見直しは、以下でご紹介する昨年2022年の4月の最高裁判決がきっかけではないかと言われています。
被相続人が銀行から借り入れした約10億円と自己資金で、合計14億円のタワーマンションを2物件購入。被相続人の死後、相続が発生した際には、タワーマンションの相続税評価額は合計で約3億3400万円ほどでした。相続人は被相続人が銀行から借り入れた10億円の負債も併せて相続していたため、相続税評価額は相殺され、相続税をゼロとして申告。しかし、国税庁は2億4000万円が適切な相続税額とし、更正処分を下しました。それに対し、相続人は不服を申し立てましたが、裁判所は国税庁の主張を認めた、といった事例です。
現在の日本の税制では、土地にマンションや一戸建てといった住宅を建てることで節税できる仕組みとなっています。
一方で少子高齢化が進み、空き家が増えている現状から、今後タワーマンションに限らず、税金の見直しが行われることも予想されています。
◎税制改正の内容
今回の税制改正では、タワーマンションにおける評価額の算出基準が変わることが予想されており、現行の税制では含まれていなかった「築年数」や「階数」などが基準に追加される見込みです。
新たな基準が盛り込まれることによって相続税評価額は実勢価格(時価)の4割から6割になるように検討されています。
相続税評価額が上がると、それに伴い相続税も高くなるため、現在に比べて相続税対策としての効果が小さくなる可能性が高いです。
なお、タワーマンションの相続税における税制改正は2023年中に行われ、2024年1月以降の適用を目指しています。
■相続税の計算方法
ここでは実際に相続する時にどのくらい節税できるのかシミュレーションを行います。
現金を相続する場合と、タワーマンションを相続する場合を比較してみましょう。
◎1憶円の現金を相続する場合
1憶円の現金を相続する場合、1憶円がそのまま課税価格となり、税率30%で計算します。
ただし、相続額が5000万円超~1憶円以下である場合は700万円の控除を受けることができます。
計算方法は以下のとおりです。
1憶円×30%-700万円=2300万円
◎1憶円のタワーマンションを相続する場合
1憶円のタワーマンションを相続する場合、相続税評価額は現在の実勢価格(時価)の4割程度となるため、課税価格は4000万円とされ税率20%で計算します。
ただし、相続額が3000万円超~5000万円以下である場合は、200万円の控除を受けることができます。
計算方法は以下のとおりです。
1憶円×40%=4000万円
4000万円×20%-200万円=600万円
上記の通り、理論上ではタワーマンションは現金を相続するよりも1700万円の節税が可能になりました。
◎改正後、1憶円のタワーマンションを相続する場合
税制改正後、相続税評価額は現在の実勢価格の6割程度となるため、課税価格は6000万円とされ、税率30%で計算することになります。
ただし、この場合は相続額が5000万円超~1憶円以下の範囲であるため、700万円の控除を受けることができます。
計算方法は以下のとおりです。
1憶円×60%=6000万円
6000万円×30%-700万円=1100万円
税制改正後にタワーマンションで相続した場合、現在と比較すると納税額が500万円多くなります。
■タワーマンションの売却は増税前がおすすめ
ここまでタワーマンションの相続税が見直されている理由や税制改正の内容、相続税の計算方法などについて解説してきました。
タワーマンションの相続税が増税されることで、現在に比べて節税効果が見込めなくなるため、タワーマンションを購入する人が減る可能性が考えられます。
つまり、タワーマンションの需要が減ってしまい、増税後には価値が下がってしまう恐れがあることです。
タワーマンションは立地条件がよく、物件としての価値も高く、値下がりしづらいですが、こうした側面から見るとメリットばかりでもないことがうかがえます。
売却を検討してらっしゃる方は増税前に売却してしまうことをオススメします。